作 品 < KYOKO TANAKA >
MY STATEMENT
わたしにとっての「制作」とは、
特別 と あたりまえ
との間を行き来することです。
わたしが制作の主な素材としているガラスには、いくつかの少し特別な性質があります。
息でふくらむ、冷えて固まる、光を透す。また溶ける・・・。
ある時、その特性にわたしは「音」を感じました。
やわらかい時のガラスはとても饒舌で、たくさんのエネルギーを発しています。
冷めてかたちが定まると、今度はそのエネルギーを静かに内包しようとします。
今ここにあるガラスは静かでありながらも、確かに饒舌だった時の記憶を内在させている、その様がわたしにはとても魅力的で、耳を澄ましたくなりました。
ものに耳を澄ます癖がついてくると、他の素材にも「音」を感じさせる要素があることに気がつきます。
どんなものにも特別な性質があります。
そしてそんな「特別」はそれ自体にとっては本当はあたりまえのこと。人があとから付け足したような機能というものを一旦取り去って、「あたりまえ」の顔で佇む素材は余韻を感じさせることを知りました。
そのあたりまえの余韻をかき消さない様に気を配りながら、「特別」を活かして、新しい特別へ構成していく行為と、自然とにじみでてしまう自分とのバランスをとりながら「音」を感じる作品作りを心がけています。
2024-06-20
個展「 ganker - phone 」
( 新宿眼科画廊 / 新宿 / 2009年3月 )
個展「 ON A I R ! 」
( Seta - shop gallery / 世田谷 / 2010年1月)
個展 「 Follow the Rhythm 」
( 日向堂/ 祐天寺 / 2010年6月 )
田中恭子・くぼあやこ二人展「 Alice at 3:00 」
( Gallery it's / 代官山 / 2010年10月 )
イラストレーターのくぼあやこさんと不思議の国のアリスの世界をモチーフにした作品展。
一見、飲みたくない「 Drink me ! 」というタイトルのボトルには体が小さくなる飲み物が。
一見、食べたくない「 Eat me ! 」というタイトルの小箱は体が大きくなるケーキ。
というイメージで制作。
会期中、展示会場では Quinka,with a Yawn のライブ。
ライブの来場者には、わたしの作品にあわせてGomaさんが作ってくれたおやつ付き!
工芸の五月「 池上喫水社 」
( 池上邸 / 松本市 /2009・2010・2011年五月)
「 工芸の五月 」と「 みずみずしい日常 」
長野県の松本は古くから工芸と地域との関わりが深いまち。
そこでは2007年より、古くからの関わりに新しいエネルギーを加えて工芸をもっと身近に感じてもらおうと、五月の一ヶ月間、街中の50の会場で「 工芸の五月 」という企画がおこなわれています。
おとなりの安曇野で作家活動をしていた縁もあり、いくつかの企画に参加をしてきました。
「みずみずしい日常」は人場研(まんばけん)が企画するその中のプロジェクトのひとつ。
2009年より、松本の水資源である井戸、湧水、水路をひとが集まる暮らしのみずばと捉え、工芸・クラフトと結びつけることで、豊かな水のあり方、豊かな工芸・クラフトのあり方を提案しています。
「 池上喫水社 」
普段は閉じられた古い蔵を利用し、水と向き合う時間を、水を祀る、というコンセプトで提案する珈琲とガラスのインスタレーション。
松本市内のお宅からおすそわけしてもらった湧水は一滴ずつ、ガラスの装置を通って珈琲のしずくになっていく。8時間かけて抽出されたその珈琲を、五月の風が心地よい庭で味わえます。
水出しコーヒー装置とうつわの制作・構成を担当。
< 参加 >
シナリオ・会場構成/人場研(まんばけん)
ガラス/田中恭子
珈琲/L PACK
木工/指田哲生・三谷龍二・二人組工作所
暖簾/秋山博見
オープニングパフォーマンス/高須賀千江子
水質調査/藪崎志穂